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あたしは、
幽霊の男と暮らしている。
*
「ゆまぁ~~。レモン食べたいー」
「却下」
「なんでぇ~~?」
「たかだかレモン一個のためにスーパー行きたくない。金も時間ももったいない」
「時間もったいない、って……今、全力で暇そうじゃん」
「そう見える?」
「見えるから言ってるんじゃんか」
吐き捨てるように言い放った
ユウキ
佑季の顔に、ゆまはテレビのリモコンを投げつけた。
それは見事に彼の顔面を捕らえたが、まるで3Dの映像に物を投げたように、リモコンは佑季の体を抜けて壁に激突した。
ガンッ! という音が響いて、佑季が肩を上げて顔を引きつらせる。
「何すんだ! 危ない!」
「ちっ」
不機嫌顔で舌打ちするゆまに、佑季は感情のメーターを上げて立ち上がる。
「こら! 『ちっ』じゃない! 超ビビったじゃねーか!」
「いいじゃん、どうせ当たらないんだから。わかってんでしょ?」
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