第二章:『大人の事情』

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丹野貴博と茂木沢八兵衛はロビーの椅子に座っていた。 佐藤賢一の姿を見つけると丹野貴博は手を挙げる。 「こっちだ」 向かいに座った。 オレンジジュースが置いてある。 「何かあったの?」 「ああ、八兵衛」 「畏まりました。佐藤殿が巻き込まれました先程の戦いの事でして。 佐々木組の方が新しい兵器を調達したらしく、予想以上にこちらの人数が減ったのですよ」 「へぇ、んで?」 オレンジジュースを啜り、尋ねる。 「それで人数合わせに捕虜から強い奴を選出して面子稼いでるんだが、貴様にも入って欲しい」 「ぶっ!何その合コンみたいなノリ!」 オレンジジュースを吹いてしまった。しかし音速の速さで八兵衛が拭く。 「したことあるのか?」 「いや、無いから」 「なら言うな」 「はい、すんません」 何で謝ってるのか知らんが、頭を下げた。 「取りあえず無理だから。俺ゲームでしか武器使った事無いし」 「安心しろ、昔の偉い人───所詮俺以下だが───が言っていただろ?“自分を信じろ”って」 「今凄い事言ったね丹野さん」 丹野君は言いづらいので、さん付けにした。 「つっても君には無理だから、今から教える。行くぞ」 八兵衛と共に丹野貴博は立ち上がった。佐藤賢一も慌てて立ち上がる。 「いつもドンパチの前に最終調整してる場所に連れて行く。三時間でマスターさせてやるさ」 丹野貴博はニヒルにそう笑うと、車に乗り込んだ。 佐藤賢一も隣りに乗る。 八兵衛の運転の下、彼らは昼下がりの道路を走っていった。
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