3580人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっくん、今日は多分凄く驚く日になると思うわよ?」
母さんがニコニコ笑いながら言った。
「どうして?」
「んふふふ~。それは帰ってきてからのお楽しみ。」
悪知恵が働いているような感じの笑みだ。
「はいはい。楽しみにしてますー。いってきます」
「いってらー」
家を出て、隣の家の玄関前で待つ。
いつものこの時間なら、家を出るともう既に家の前にアイツがいるはずなのだが、珍しく今日は俺の方が家を出るのが早かった。
だから、アイツの家の玄関前で待っているのだ。
携帯電話でテトリスをプレイしながら待っていると、玄関の鍵が開く音がした。
そして、扉が開く。
「おはよ」
俺と彼女は、ほぼ同時に言った。
玄関から出てきたのは、紺色の制服を着た女子だ。
黒い長髪。少し尖った印象を与える大きな目。
この女子は俺の幼馴染みの沢野 雪音 (サワノ ユキネ)だ。小学校の時から、ずっと一緒の学校に通っている。
よりによって、通う高校まで一緒なのだから、もうこれは誰かの策略としか考えられない。
最初のコメントを投稿しよう!