3580人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい」
「おっ、サンキュー」
袋から何冊か本を取り出して確認する金村。
それ以上その場で会話をする必要が無かったので、俺は無言のまま自分の机に座った。
と、金村がまた話し掛けてきた。
「加藤、ライティングの宿題やった?」
その言葉は俺の脳内を激しく揺らした。
「…忘れた」
「えぇ~!?写させてもらおうと思ったのに~!」
ヤバい…!あの宿題を忘れると、授業中ずっと指されっぱなしになる!そうなれば、貴重な睡眠時間が無くなってしまう…!とりあえず、適当に女子を当たってみるか…!
まず隣の席の高橋さんからだ!
「高橋さん!ライティングの宿題終わってる!?」
「あっ、うん。はい」
「貸して!?」
彼女はライティングのテキストを机から出し、俺に渡した。
まさかの一回の表で満塁ホームラン気分。
「でも、間違ってるかも…」
「全っ然気にしませんから!あざーっす!」
重要なのは「必死で頑張りました」という意志が伝わるような解答ですから。
俺と金村はコピー機に改造されたかの如く、高橋さんのライティングのテキストを必死に丸写しした。
最初のコメントを投稿しよう!