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光りのない疲れきった眼。
乾いて縮緬皺の走るトカゲの腹みたいな皮膚。
頬も腕も、ごっそりと肉が削げ落ち。
鎖骨や肋骨が、くっきりと分かる、筋の浮いた皮だけの胸。
そうして。
薬品の匂いに混じって、うっすらと漂う……
死の、匂い。
三十路に入ったとはいえ、四十前とは思えない、その老人のような身体に。
かつての逞しい山屋の面影は、何処にもなかった。
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