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「巽(たつみ)……は、元気……か」
さあ、と僕は首を傾げた。
「ここ四年くらい会ってないから……」
と。
キクチさんは、はっと目を見開き。
何処にその力が残っていたのか……
痩せた棒きれみたいな腕を伸ばし、上着を引っ張るようにして、僕の腕をぐい、と掴んだ。
「御、前……」
困惑とも後悔ともつかない、なんともいえない暗い顔で僕を見、
「わ、別れたのか」
はっきりとした口調で言った。
「やだな。違いますよ」
僕は苦笑し、キクチさんの腕をそっと外すと、ベッドに戻した。
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