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   傷も何も残ってはいない。  だのに。  身体のあちらこちらから、  皮膚のあらゆる場所から、  体内の奥深くから、  たった今、受けたかのような、  生々しい感覚が湧き上がり、  未だ身の内に燻っていたのだと、  その緋々(あかあか)と焼けた火箸を持ち。  僕を苛む。  
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