演じる人形

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 教室に帰るとクラスは、みんな地獄を見るような表情で机に俯き黙っていた。  仕方ないだろう……なにを隠そう殺されているのは、『このクラス』の人間だけなのだから。 このクラスの人間は、初めは、泣いていた。初めは、騒ぎたてた。初めは、喜んだ。しかし、止まらない容赦ない殺人の前には、絶望するしかなかった。  教室に来る人は、日を増すごと殺害された人間を含まないであきらかに減った。  主に来なくなったのは、女子。女子しか殺されていないのだから当たり前と言えば当たり前のこと。逆に男子には、『女子しか殺されていない』とその法則性には、自分達が入っていないのがわかっているのだからまだ心に微々たるものだが余裕があるようだった。
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