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時は、日が落ちようとする午後7時、夏は、太陽がなかなか堕ちないから嫌いだ。
今、私の目の前には、一匹の虫けらがいる。
虫けらの名前は、アユと言った。
人通りが少ない路地に尻持ちをついていた。なんて醜い…
「なんで!?私達、友達でしょ!」
私の手には、一本のダガーナイフが美しく輝いている。
今から、私は、このナイフで虫を一匹殺そうと思う。
理由?いいかげん演じるのに飽きたから。
「面白い話をするのね。…で、いつから私達は、友達だったの?」
虫けらは、死刑寸前の囚人のように光を見失った瞳をして、手足は、モールス信号を打つように震えていた。
「…少しは、綺麗な顔できるじゃない」
恐怖や苦痛に耐える顔ほど綺麗なものは、ない。
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