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母親
『涼‼早よ食べ‼お母さん、疲れてんねやから、早よ片して寝たいんよ‼』
涼介
『あ、あぁ…』
涼介は、食卓に着くと、夕食を食べ始めた。
涼介
(あ…そや…。)
涼介は、不意に口を開いた。
涼介
『なぁ…おかん…』
母親
『どないしたんよ⁉改まって⁉』
涼介
『……今日…仕事探しに行って来たんな?』
母親
『ほーなんや⁉ようやく真面目に働いてくれる気になったんか⁉どんな仕事や⁉』
涼介
『とりあえず話だけ聞いてきて…迷ってんねんな…?』
母親
『せやから‼どんな仕事やねんて⁉また水商売かぁ⁉ホストとか言うたら許さへんで⁉』
涼介
『そんなんちゃうわ…真面目な仕事や…』
母親
『おっきい会社か⁉どんな仕事やねんて⁉』
涼介
『……………長距離運転手…。』
この時…
母親の表情が、一瞬にして歪んだ。
母親
『こ…このアホ息子がぁぁぁ‼‼‼あんたの父さんがなんで死んだかわかっとるんかぁ⁉なんでわざわざ父さんと同じ道歩まなあかんねん‼‼‼もし事故ってみぃ‼‼周りの人間にどんなけ迷惑掛けるかわかっとんのかぁ‼‼‼父さんが死んだ時…母さんがどんなけ苦労したかわかっとんのかぁ‼⁉』
涼介
『…。』
母親
『答えてみぃ‼‼なぁ‼涼介っ‼‼普段からただでさえ家庭ほっぽっとったんやで⁉母さんがどんな思いしとったかわからんのかぁ‼‼また同じ思いさすつもりかアンタはっ‼‼ドアホが‼‼絶対にアカンでな⁉明日断りや‼』
涼介
『……やっと……』
母親
『何っ⁉』
涼介
『…やっと…やりたい事が見つかりそうなんや…俺は…親父と同じ視界を……見てみたいんや……』
パンッ…
母親は、涼介にビンタを食らわした。
母親
『アホアホアホォ‼‼このドアホォ‼‼父さんと同じ視界やと⁉寝ぼけた事吐かすなぁ‼‼父さんの視界はなぁ、高すぎて、足元にいてるアタシら家族の事なん見えてへんかったんや‼‼高い位置から、もっと高くて、手の届かんトコに逝ってもーたんや‼‼‼結局…結局、足元におるアタシらの事なん見下げもせんとなぁ‼‼………アンタには……そないなってもらいたないんや……』
そう言うと…
母親は泣き崩れてしまった…。
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