prologue…

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『ワシらトラック乗りは、陸の船乗りなんや。ワシらは、日本の物流を支えとるんや…。トラック乗りは…日本を生かしとる…。日本と言う体の中を流れる血液なんや。』 昔… 親父がこないな事を言うてたな…。 親父は、長距離トラックの運転手やった…。 家にはたまにしか帰って来ぇへんかった。 それが当たり前やった。 たまに帰ってきては、酒を浴びる程飲んで、いびきをかいとった。 酔っ払うと、『トラック乗りは―』…と、誇らしげに語っとったな。 ……そんな親父は… 俺が高校に上がった年… 二度と帰って来ぇへん航海に出たんや。 二度と… 帰って来ぇへん… 一人旅に…。 帰って来たんは… 親父の亡骸と… 遺品だけやった…。 居眠り運転やったらしい…。 ノーブレーキで渋滞の列に突っ込んだそうや。 鉄骨を運ぶトレーラーに突っ込んだ親父は… 即死やった。 それから数年後… 俺は、親父と同じように… トラックのハンドルを握って… 日本中を駆け巡っている………。
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