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走る事30分程…
涼介は、茂馬シーパラダイスの前まで来ていた。
涼介
(さて…と…この住所やと…)
辺りをキョロキョロしながら走り回っている内に、それらしき場所へ着いた。
涼介
(これや…。)
見ると、看板にでかでかと、《㈲マルトモ冷凍輸送》と書かれ、駐車場には、様々なトラックが停まっていた。
涼介は、原チャリを停め、敷地内に入って行った。
事務所らしき建物の入り口のドアを開けると、涼介は声を掛けた。
涼介
『ちわ~…あの…』
事務員
『はーい✨どちら様でしょか?』
涼介
『先ほど電話した…野村言う者でっけど…友田社長さんは…?』
事務員
『あぁ~✨面接に来られた方ですね✨少々お待ち下さい✨』
涼介
『あ、いや💦面接やなしに…💦』
涼介が言い終わる前に、事務員は友田を呼びに行ってしまった。
涼介
(人の話聞けや💦💦)
そして、待つ事数分…
友田
『よう、兄ちゃん✨待っとったで✨まぁ、こっち来て座り✨』
涼介
『は、はぁ…失礼します…💧』
涼介は、応接用のソファーに通された。
友田
『ところで兄ちゃん、トラック乗る決心したんか⁉』
友田は、いきなりストレートに聞いてきた。
涼介
『いえ…あの…興味はあるんですけど…💧』
友田
『興味があれば大丈夫やわ✨この仕事はな、好きやないとなかなか続かん仕事なんや。好きやないと、何時間も運転なん、ようせんやろ?』
涼介
『な、何時間…………ですか💧』
友田
『せや。3時間4時間は当たり前や。ウチは食品を扱っとるさかいな、常に時間との戦いや。緊張と眠気の戦いでもあんねん。ただトラック転がしとればエエちゅー問題でもあらへん。』
涼介
『は、はぁ…』
友田
『兄ちゃん…彼女いてるんか?』
涼介
『へ?……今は…いてませんけど…』
友田
『彼女と会える時間も減る。家族も犠牲にせなあかん。長距離運転手ちゅーのはそういうモンや…。』
涼介は思った。
キャバクラで騒いどる『デコリン』と、社長の『友田』とは、別人や………………と。
真剣に語る友田が、カッコ良く見えた。
そして…
涼介は口を開いた。
涼介
『……知ってます…。ウチの親父も…長距離やってましたから…。』
友田
『…ほーなんか…ん?自分確か…野村て…言うたよな?間違いやったらすまん。もしかして…野村潔の…息子か?』
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