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「…」
凛空の家に来たのはいいけど…
入れない…
「凛空の家…いつもと違う…静かすぎるわ」
凛空は…いるのかしら?
「ガチャ」
‼…ドアが開いた…思わず私は隠れてしまった…
「ちゃんと荷物持った?これから戦いが始まるわ」
「…やっぱり…入院するしかないのか?学校…行きてーな」
瑠美に逢うのが怖い…でも…あいつの笑顔が見てたい。遠くからでいいから…
「入院⁉」
「瑠美‼お前…何で?」
「入院ってどういうこと?何かあったの?凛空」
「…くっ」
凛空…?
「何でもないさ…手術すれば治るんだって」
「…本当に?学校来なくなったから心配で」
「バーカ‼俺が…簡単に死ぬわけねーだろ?ちゃんと帰って来るから…待ってろ」
笑顔が…いつもの笑顔が見れたから…悔いはない。
「…うん」
元気な俺を見てほっとしたのか…母親の前で抱き寄って来た…俺はその温もりを忘れない様に…強く抱き締めた。母親は涙をこらえ…先に行くと伝えて…ゆっくり歩き出した。
「で…何処が悪かったの?」
「…胃潰瘍」
「うそ?何だ…安心した。胃潰瘍なら…大丈夫よ」
「だから言ったろ?大丈夫だって」
瑠美は信じていた…いや…多分信じたかったんだろう。胃潰瘍であって欲しいと…
「俺1週間ずっと部屋にいてさ…考えてた…やりたい事」
「何?急に…」
「…でも見つからなかった。何がしたいのか見つからない」
「ゆっくり見つければいいよ…先は長いんだから」
その言葉に俺は詰まった…瑠美…先なんてないんだよ俺には…
「そう…だな」
おしこらえて出した声だった…それ以上…声を出したら…彼女の前で泣いてしまいそうだったから…
「…」
瑠美…いつかは話さなきゃならないのか?
だめだ…絶対話す訳にはいかない。バレるまで…黙っておこう。
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