953人が本棚に入れています
本棚に追加
抵抗してくれれば、こんなに心が痛むこともなかったろうに。奏枝は固く目を閉じ、耐えているだけだ。
香市はため息をついて、奏枝から離れる。
「……ごめん…」
香市は後部座席に置いてあったスーツの上着を取り、奏枝に掛けた。
しばらくして車のエンジンがかかり、発車して家への道を順調に進み始める。
ずっと無言だった奏枝が口を開いた。
「家にはまだ帰れない…から、…こうちゃんち……」
「ばかかおまえ。家帰っとけ。…じゃなきゃ、もうマジで知らないぞ」
「……。顔がなおるまで…コンビニ、行こ?」
「じゃあ俺買い物してくるから、顔なおったらメール入れろ」
すぐそこにあったコンビニの駐車場に入りながら言った。
駐車してすぐに香市は車を降りようとするが、
「行かないで…」
最初のコメントを投稿しよう!