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 抵抗してくれれば、こんなに心が痛むこともなかったろうに。奏枝は固く目を閉じ、耐えているだけだ。  香市はため息をついて、奏枝から離れる。 「……ごめん…」  香市は後部座席に置いてあったスーツの上着を取り、奏枝に掛けた。  しばらくして車のエンジンがかかり、発車して家への道を順調に進み始める。  ずっと無言だった奏枝が口を開いた。 「家にはまだ帰れない…から、…こうちゃんち……」 「ばかかおまえ。家帰っとけ。…じゃなきゃ、もうマジで知らないぞ」 「……。顔がなおるまで…コンビニ、行こ?」 「じゃあ俺買い物してくるから、顔なおったらメール入れろ」  すぐそこにあったコンビニの駐車場に入りながら言った。  駐車してすぐに香市は車を降りようとするが、 「行かないで…」
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