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 香市は奏枝にそでを引かれて振り返った。 「はっ…?」  聞き間違いならいいのにと思いながら刺々しく聞き返す。  奏枝は一瞬怯んだようだったけれど、掴んだ袖は放さなかった。 「一緒に……」 「自覚しろ。これ以上甘えたら見返りをもとめるからな」 「…いくら?」  奏枝は俯き状態で言った。 「…からだ」  半ば以上本気の発言だった。 「……キスなら、いい…」  思ってもみなかった返答に香市は呆然としていたが、やがてあきらめの表情になる。 「………はぁ。じゃあ、すぐ戻ってくるから、ちょっとだけ待ってな?」  奏枝は疑うように香市をみたけれど、すぐに頷く。  ぽんぽん、と奏枝の頭を撫でて香市は車を降りた。
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