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あのあと香市と奏枝はコンビニのアイスを食べて、ファミレスで夕飯を食べて帰った。
それから3日、二人は連絡をとっていないし、当然会ってもいないでいる。
奏枝の母に頼まれて、香市が帰りの遅い奏枝を迎えに行くことは多い。
それは昔からのことで、本人同士の気持ちの都合にはまったく関係なく起こる。一度だけケンカした時も(ほとんど奏枝が怒っていただけなのだが)香市は奏枝を迎えに来た。
だから奏枝は気が重かった。文化祭の近い今日、奏枝の帰りは遅くなる。今までは会うたびベッタリだったこともあり、会うのは少し気まずい思いがある。
早退してしまおうかとも思った。けれど、これから文化祭までもそうするわけにはいかないからやめておくことにする。
仕方ないとあきらめかけた時、奏枝に声を掛ける男子生徒がいた。
「かな、一緒に帰ろ?」
「…そっか」
そうか、誰かと帰ればいいんだ!!そう連絡すれば、会うこともない。今まで香市と一緒に帰ることを優先していたため、奏枝は初めて気がついた。
早く連絡しないともうこっちにむかっているかもしれない。とりあえず母親に電話をしようと考える。
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