953人が本棚に入れています
本棚に追加
「え~っと、…奏枝?」
「え?ぁ、ごめん。うん、一緒に帰ろっ。……ぁれ?ヒロって、家の方向違わない?」
「ん~、そうだっけ?」
「私、那瀬の方だよ?違わないならいいけど」
「だいたいそっちだよ」
「じゃあ、」
ブー、ブー、ブー
「ぁ、ごめん」
奏枝は裕満(ヒロミツ)にことわって、恐る恐る電話にでる。相手は香市だ。
「…もしもし?」
『かな、学校いつごろ終わりそう?』
「あのっ、今日は迎えいいよ。友達と帰るから」
『いつもより遅いんだから危ないよ。友達も一緒に送るから。もう学校に向かってるし』
緊張気味の奏枝に香市の声音はいつも通りのように感じられた。
「………うん。もうすぐ帰れると思うけど」
『帰れるようになったら電話かメールな?友達に言っとけよ。じゃあ俺運転中だから』
プツッ
………………。
奏枝はしばらく携帯を耳に当てたまま動かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!