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「え~っと、…奏枝?」 「え?ぁ、ごめん。うん、一緒に帰ろっ。……ぁれ?ヒロって、家の方向違わない?」 「ん~、そうだっけ?」 「私、那瀬の方だよ?違わないならいいけど」 「だいたいそっちだよ」 「じゃあ、」  ブー、ブー、ブー 「ぁ、ごめん」  奏枝は裕満(ヒロミツ)にことわって、恐る恐る電話にでる。相手は香市だ。 「…もしもし?」 『かな、学校いつごろ終わりそう?』 「あのっ、今日は迎えいいよ。友達と帰るから」 『いつもより遅いんだから危ないよ。友達も一緒に送るから。もう学校に向かってるし』  緊張気味の奏枝に香市の声音はいつも通りのように感じられた。 「………うん。もうすぐ帰れると思うけど」 『帰れるようになったら電話かメールな?友達に言っとけよ。じゃあ俺運転中だから』  プツッ  ………………。  奏枝はしばらく携帯を耳に当てたまま動かなかった。
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