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 薄暗い中、小さなディスプレイが教師の顔を不気味に青白く照らし、教師の目が細まる。 「藤堂香市(トウドウ コウイチ)…?男か?生意気だな」 「ん゙ーっ!!」  携帯を奪おうと奏枝は腕を振り回した。 「うるせぇ、暴れんな。ったく……」  ブー、ブー、ブツッ、ツ―ツ――…  通信を切断されて、絶望感が奏枝の中に広がってきた。 「動くなよ」  奏枝の瞳から涙がこぼれた。  教師が奏枝の胸元にかぶりつくように口を寄せてくる。  スカートの中で太ももを撫でまわされる。 「んーっ、っは、いっ、いやあぁっ!!!」  口をふさいでいた手に隙間ができた瞬間に奏枝は叫んだ。 「てめっ、黙れっ……!?」  突然、カギの掛けられていなかった部室の扉が開かれた。 「……黙んのはてめぇだっての!!」 「がっ!!」  奏枝に覆いかぶさっていた教師は吹き飛んで、部活の備品を散らかした。  教師を蹴り飛ばしたのは、声音からして男のようだ。
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