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「ゲホッゲホッ…だ、だれだおまえはっ!!」
「それはこっちのセリフだよ。教育委員会にでも言って…………いや、やっぱりいいわ。殺す…」
吹き飛んでいった教師に男はズカズカと近づく。
薄暗い中でも奏枝に顔の見える位置まで男がきた。つやつやした黒髪に、白めの肌が映える。整った、見覚えのある顔。
「こうっ、こうちゃんっ?」
男は奏枝をちらっと見ただけで、返事をしなかった。
ただ、表情に怒りの色を濃くして教師をねめつける。
ドスッ!!ガツッ!!
「………っ!!」
奏枝は思わず目を閉じてうつむいた。
「う゛っ、ゲホッ、やめっがはっ!!」
耳も塞ぐ。
それでも、音と声は奏枝の耳に届いた。
「ひ、やめっ、やめろっ…」
教師が奏枝の目の前を這って逃げようとしている。
「いやだね」
こうちゃんと呼ばれた男、香市は教師の襟首をつかんで無理矢理上向かせ、殴った。
近くに何かが落ちた音に奏枝がうっすら目を開けば、目の前にあった教師の顔は鼻血か何かで血まみれだった。
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