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 向かいに住んでいるおにいちゃん。昔からずっと、とってもよくしてくれている。きっと、妹のような存在に思ってくれていると感じていた。  しかし奏枝の言う大丈夫と香市のほしい大丈夫では、差があり過ぎた。 「こうちゃんっ彼女、いる、しっ」 「ばか」 「………?」  奏枝は、ばか呼ばわりされるようなことを言ったとは思わない。  意味がよくわからなくて、香市の胸からやっと顔を離して、香市を見上げた。  奏枝は、細い腕を震わせて、はだけたワイシャツからあらわになっている白い肌と下着をそのままに、潤んだ瞳で見上げる自分がどう見えるかなんて、知らない。 「…―――っ」 「こうちゃん?どうし…」  香市の顔を覗き込むように首を傾げてみせる。  香市は、はだけた胸元に赤い跡を見つけた。それは強い怒りと、ほかの情動を起こさせる。 「奏枝…いい加減にしろよ…」  奏枝の言葉をさえぎって言う香市の声音は、いっそ悲しそうでもあった。
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