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 無防備過ぎる奏枝にも、愛しさを越えて怒りを覚える。めちゃくちゃにしてやりたいと思う。 「へっ、何…」  奏枝は抱きすくめられた。 「何?こうちゃんっ?」 「かな……」  香市の熱い息が奏枝の首もとかすめた。 「なっ…あっ、何っ?」  香市は抵抗する奏枝を軽く押さえつけて、くちづける。今まで頭だとかにしたことはあっても、奏枝の唇にしたのは初めてだった。 「…んっ」  深く口づけながら、奏枝のワイシャツのボタンをすべて外していく。  胸元に唇を寄せ、ふくらみに手を当てる。 「っ……」  途中から抵抗のなった奏枝を香市が見上げてみれば、奏枝は目を閉じて横を向いていた。  車のシートには奏枝の涙で黒い染みができている。
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