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菖蒲は混乱した僕を部屋の中に招き入れると、ベッドに座らせ、首のガーゼを巻き直してくれた。
ここに来るまでに、無意識の内に掻き毟っていたようだ。
「...桔梗、」
ガーゼを巻き終えた菖蒲は、僕にノートとペンを差し出した。
「声、無理しない方がいい。
...その声は風邪...じゃないよな?」
僕は首を縦に振った。
僕は風邪をひいたら喉よりもまず発熱する。
ずっと一緒にいた菖蒲はそのことを知っている。
僕は渡されたノートに『朝起きたらこうだった』と書いた。
菖蒲は、暫く目線を落とし、何か考えているようだった。
「桔梗...お前変声期なんじゃないか?」
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