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“変声期”...?
『何、それ?』
「丁度俺達の年頃になると、声が変わるんだよ。低くなるんだ。
父さんの声、俺達とは大分違うだろ?」
『声、元に戻る?』
「暫くしたらまた声は出ると思う。
......でも、さっきも言ったけど、声が低くなるんだ」
『歌は? もうすぐ本番』
「歌は...無理だと思う。
声変わりしたら今までの高さは出せないよ」
僕は、信じられなかった。
今まで菖蒲を疑ったことなんてなかったけど、今回だけは信じたくなかった。
もう、今までのように歌えなくなるのだろうか?
僕は震える手でペンを握った。
『まだ声変わりって決まったわけじゃないよね?』
僕は願った。菖蒲が首を縦に振ってくれることを...
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