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 本番まで、後1週間...  信じられないことが起こった。  朝目が覚めて欠伸をした時、異変に気付いた。  声が、出ない。 「......っぁ、...っ」  昨日の夜までは出ていたのに。  自分でも驚くほど澄んだ高音が出せたのに。  僕は訳が分からなくて、もがきながら菖蒲の部屋へ走った。  「...っ蒲...ぁけ...てっ」  出ない、出ない、声が出ない!  聞こえてくるのは自分がドアを叩きつける音と、喉の奥から漏れる息と、たまに蛙がひしゃげたような音。  「......桔梗、」  やっとドアを開けてくれた菖蒲は、泣きながら縋る僕を冷静な眼差しで迎えた。 「菖...蒲...こ・ぇが...出な...っ、」 「桔梗...桔梗、中に入りな」 .
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