Hello and Good-bye

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   ……それは。傍(はた)から見れば、どう映ったろうか。  ひとりはスーツを纏ってはいるものの、堅気らしからぬ気配の中年男。  ひとりは青紫に染めた長髪を襟足で束ねた、ロングジャケットの学生もどき。  自分で言うのも可笑しいけれど、どちらも昼間の商売を連想し難いのは明らかで……  そんな、上司と部下にも、まして友達同士にも見えない二人が、夜中の公園のベンチで黙って煙草を吹かしてる。  酔っ払いらしい気配も、ない。  多分、誰が見たって妙な光景に違いない。 (なんでこんなことしてんだろ……)  見ず知らずのオッサンに呼び止められて。別に飲みたくもない缶コーヒーを飲み。  どんな用事があるのかと思えば、とるに足らない会話をしただけで、二人並んで細い狼煙をあげてる……だなんて。  
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