Hello and Good-bye

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   ロングジャケットのポケットに手を突っ込み。  真直ぐに部屋に帰る気にもならず、僕は足の向くままに歩いた。  いつもポケットの中にあった140gの重さが、今はもう、無い。  今夜からは……あの頼りない重みは何処にも無いのだ。  淋しいような。けれど胸の内で、僕は少しだけ安堵の溜息をついていた。 (終り、終わり。お終い。清々したじゃないか……)  そう。綺麗さっぱりした。  明日からあの煩わしいメロディを聞かなくて済むのだから。  あのメロディを聞く度に心を掻き乱されることは……なくなったんだ。  もう、二度と。金輪際……無い。    
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