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悲しい星
結城は、私を座らせるなり、じっと天井に映る星空を見た。
私も話しかけなかった。
そうしているうちに、結城が口を開けた。
「このプラネタリウムは、千砂との思い出の場所なんだ。」
「え?千砂って?」
また、結城は口を閉じた
。
重い空気に耐えられなかった。
結城がまた、
「千砂は、親友。いや、大切な人だった。」
結城が星空を眺めて言った。
「千砂とは、小学生からの友達で、うちを変えてくれた人。でも、今はいない。」
「どういう意味?」
「死んだんだ。二年前。
交通事故で。二人でこのプラネタリウムから帰る途中、うちと別れた後にトラックにひかれて…。
即死だった。」
私はそれを聞いて何も言えなかった。ただ、結城の話を一生懸命聞くだけ。
「うちは、千砂に何もできなかった。最後にバイバイって手を振って別れたんだ。また、明日会えると思い。」
結城は、泣く事なく天井を見つめた。
そこには、満点に輝く星空があった。
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