崖のシタとウエ。

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絶望の淵に立たされていた。 右も左もない、ましてや前なんて、 後ろすらどっちだか分からない、 そんな淵に立たされていた。 自分の手は 一体何を掴んでいて 何を掴んでいないのか。 何が欲しくて 何を求めているのか。 そんなコトも分からないまま 歩かなければならなかった。 受験だとか 勉強だとか 恋愛だとか 仕事だとか 希望だとか 解る訳ないじゃないか まだ何年かしか生きたことのないコドモなんだから。 怖くて堪らない。 泣くなんてコトが したいんじゃない。 ただ何も分からずに 怯えているだけ。 どうすれば前に進める? 前はどっちなんだろうか。 暗くて何も見えない。 何も見えないし 何も聞こえないよ。 どうすれば良いんだろう。 そんなことを ずっとずっと考えていた。 考えずとも考えていた。 不安で堪らなかった。
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