岸辺のアルバム

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   ちょっと嫌な予感がして。  僕は川面を指差して聞いた。 「アル」 「うン?」 「あれさ。どうやって回収すんの?」 「え」  今更だけど、僕は物凄く大変なことに気付いてしまったのだ。  相手はただのプラモデルなのである。  中身は電池とモーターのみで、おつむに相当するものは皆無なのである。  帰っておいでよ、こっちへ来いよと言って、「はい分かりました」と自分で方向転換して戻ってくるわけじゃない。  然も此処は単なる河原。ボートもなければ矢切の渡しもいないのだ。   
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