目覚めの『血』

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下りてくるとなにやら香ばしい香りが漂っていた。 「朝ご飯、パンとベーコンでいいよね?」 いいよね?と聞いてはいるが、既に作り終わっている。 …うん、見事に無駄な質問だ。 俺はそう思った。 「…?かぁさんは?」 イスに座りパンを片手に問いかけた。 「ママはもうアダムたちのところに行ったよぉ」 冷蔵庫の中を漁りながら妹はそう答えた。 「…俺も行った方がいいよな?」 めんどくさいが仕方がない。 今日は試験だし。 なんの試験かって? 一人前の龍飼いになるための試験だ。 何をするのかは……聞いてなかった。 ‥‥ ‥‥ ‥‥ 「ごちそうさま。んじゃ行ってくる」 早々に朝食を食べ終えて家を後にした。 向かう先は家のすぐ近くの谷、いや崖と言った方が正しいかもしれない。 そこには何分もかからないで着いた。 「今日はやけに風が無いな。珍しいな」 いつもはものすごい突風が吹き荒れているので何か不気味なものを感じずにはいられない。 そして その予感は、はずれることなく眼前に広がっていた。
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