足音の主

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足音の主 始めに言っておきますが、今からお話させていただくコトはすべて事実です…。 夢だったりフィクションだったのなら、泣いて喜びます。 この話は、私が中3の時の話です(現在は大学2年)。 その頃は中学の隣にあるマンションに住んでいました。 私は昔からよく見えてしまう体質で、恐らく父親譲りだったのだと思います。 しかし、小学校6年くらいから序々に見えなくなり、今では気配だけ感じ取るくらいになりました。 6月頃、父親に多額の借金が見つかり、両親は離婚に向けて話し合うようになりました。 そして8月の夏休み。 その日は母と弟が出かけていて、父親は当然どこかに行き、家には私一人でいました。 やることもなくなり、気分転換にお風呂に入った時のことです。 湯船に浸かって「はぁ…」と息をついた瞬間、ガチャッと玄関の鍵が開いた音がしました。 「あれ?」と思いましたが、誰かが帰って来たのだろうと気にしませんでした。 しかし、お風呂から上がり、誰も帰って来ていないことに気がつきました。 それだけではありません。もう一つ不思議なことがありました。 お風呂に入る前には消したテレビが、なぜか起動しているのです。 脱衣所まで聞こえるテレビの音。 ですが、楽観的な私は消し忘れたのだと思い込むことにしました。ですが…。 私が脱衣所から出た瞬間、テレビが消えました…。 さすがにいてもたってもいられなくなり、出かける準備をしました。 準備をしている最中、誰かに見られているような気配と、妙な耳鳴りが続きました。 やっとの思いで準備を終え、玄関までの廊下を歩いている時に、玄関から一番遠い和室から ペタペタ… ミシミシ… と、畳を裸足で歩く音が聞こえ、玄関まで猛ダッシュ。 そのまま近所のファミレスへ行き、母たちの帰りを待ちました。 その日から親が離婚して母親の実家に行くまでの間、一人で家にいることは絶対になかったです。 上記のことが関係しているかはわかりませんが…。 高校3年の4月、父親があのマンションで自殺をしました。 首吊りだったそうです。
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