足音の主

3/3
前へ
/1839ページ
次へ
父親の死に顔を見て、涙一つ流せませんでした…。 それ以前に「父親」と思えなくなっていたんです。 父親が死んでから、しばらくの間毎日同じ夢を見るようになりました。 毎日毎日、違う場所で誰かに追いかけられるんです。そして、何らかの危害を加えられる。それも夢のくせに体に激痛が走るんです…。 しかし、そんな夢も段々少なくなり。 父親が死んでから半年が経とうとしていた頃、あの恐怖は起こりました。 その頃の私は寝る前にラジオをかけっぱなしにするクセがありました。 その日もそうでした。 でも、その日だけはいつもと違っていたんです。 いつもと同じ局、同じ音量…だったはず。 突如大音量で流れる聞いたこともない音楽。一瞬で眠りから覚まされました。 そして、ボイスチェンジャーで変えたような男女の判別すらつかない気味の悪い声で 「あはははははははははははははははははは!!!!!!!」 「見ツケタ見ツケタ!!!!」 「モウ逃ガシタリシナイカラ…」 「スグニ、スグニ…迎エニ行クカラネ」 その直後に金縛り。 30分くらいでしょうか? もっと短かったかもしれません。 そしてフッと金縛りが解け、急いで1階の母の元へ行きました。 今あったことを話し、一緒に私の部屋へ…。 するとラジオからはノイズしか聞こえなくなっていました。 そのことが原因かわかりませんが、カセットもCDも他局のラジオも聞けるのに、私がいつも聞いていたラジオ局だけ聞けなくなってしまいました…。 これも、直接の原因かはわかりませんが…そのラジカセは父親に買ってもらったものでした。 父親が私を探していたのでしょうか? それとも、前に聞いた足音の主でしょうか…。 今はラジカセも買い替え、そのようなコトはないですが…あれ以来ラジオをつけっぱなしにできなくなりました。 それでは…。 皆様もラジオのつけっぱなしにはお気をつけくださいませ。 ほら…今日は聞こえてくるかも知れませんよ…? 「あはははははははははははははははははは!!!!!!!」
/1839ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2112人が本棚に入れています
本棚に追加