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理由は簡単。
『…………めんどくさい。』
2人の引率の先生が話して居るのにも関わらずわたしは小さく呟いた。
そんなわたしのとなりの友達、ミケが笑う。
(ミケは勿論あだ名で本名とは1文字被ってるだけ)
「とか言って、彼氏に会えなくなるのが嫌なんでしょ?」
少し癖のある肩まで伸びた髪の毛を揺らして笑いながらミケは言う。
この子は一見のんびりした子にみえる(なぜなら特徴的なたれ目といつも笑っているという点からだ)が意外とズバッとものを言ってくる。最初の頃はそのギャップにびっくりしたものだ。
まぁ、さすがに2年も仲良くしていれば慣れたけど。
『……あぁ、……んー…離れたくない、ってゆーか寧ろ…』
この時私には付き合って7ヵ月になる彼氏がいた。
7ヵ月とはいってもその期間の中で何回か別れても居るし 喧嘩なんてほぼ毎日。
デートをすれば当たり前のようにわたしの奢り。割り勘なんてまともにしたことがない。
オマケに浮気癖もあったりで。
前に浮気相手とのチュープリを発見したときにはそれはもうキレた。
でも それと同時に「やっぱりね」とか思う自分も居てびっくりしたっけ。
今思えばなんで付き合っていたんだろ、とか思うくらい。
「むしろ?」
ミケが言葉を促す。
『………留学に行くって言ったらキレたよね。あいつ。“俺の春休み計画乱すなよ”的なこと言われた。で、喧嘩。』
「なにそれ」
『絶対帰国したらまた喧嘩だよ』
呆れるミケにわたしは苦笑した。
「別れちゃえばいーじゃん(笑)」
ミケと変わってひーくんが言う。
(ひーくんは“君”ってつくけど女の子。バスケ部で、体格はがっちりめ。ショートカットで見た目も性格もスポーツ的な子だ。)
『…………だよねぇー。』
その時のひーくんの言葉にわたしはすぐ答えられなかった。
たぶん自分の中でも別れたり また付き合ったり繰り返していくうちに自分がどうしたいのか分からなくなっていたんだと思う。
いつもギリギリな関係にいつからか疲れて“好き”という感情もわかんなくなってきてて。
それでもその時のわたしは馬鹿で。
ただ近くに人の温もりが欲しかったのかもしれない。
親の離婚、家庭内のぐだぐだ、親友との喧嘩。
そんな中だからこそ近くに そう言う所謂“彼氏”的な存在が欲しかったのかもしれない。
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