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吐き気が込み上げてくる
何が…何が…起きてるんだ…?
その気持ちがまた足を動かせる
意思の通じない足が止まった場所は
馬鹿と言い合いながらもいつも仲がよかった妹の部屋の前
ドアはボコボコでドアノブも外れかけであり、壁にはドアノブが強く当たった跡がはっきりと残っていた
「なんだってんだよ……」
何故こんな状態なんだ
朝家を出た時はこんな状態じゃなかった
部屋に入るといつもまるで別世界に入ったような感覚に襲われる
ぬいぐるみが大量にある女の子らしい部屋
逆に珍しいとも言える部屋
その部屋の端に置かれているベットの上でその部屋の持ち主は倒れていた
「美…香…?」
部屋に自然の光が入る
暗闇にのまれた世界に一瞬だけ色を取り戻す
その色は鮮やかな紅だった
「…ぅ…………」
自分の心が闇に包まれる寸前、ベットから声が聞こえた
「美香ッ!!!」
入口に立っていた俺は美香のいるベットへ走り、仰向けの美香を必死に呼んだ
「美香!?オイ!美香!!!」
空耳だったのかもしれない
しかし俺は呼び続けた
数分呼び続け、諦めが頭の中を過ぎったその時
聞きたかった愛しい声が耳に届いた
「ぉ……兄…ちゃん………?」
いつも活発な少女の声は驚く程に弱々しいものだった
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