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部屋に帰り、少女は溜め息をついた。
「変なトコ見せちゃったな…ホント」
あの声は優くんには絶対に聞こえない。
絶対に。
世の中には二重人格と言う物がある。
一人の人間に二人の人格がある人を指す言葉だ。
私はたぶんこの世界ではそう呼ばれる人間に思われるだろう。
キンと甲高い音が頭の中に響く。
頭の中だけで響く。
また来た。
《わかってるんでしょ?なら、さっさとあの子を…》
「わかってる!でも嫌!絶対あなたには渡さない。」
《言ったでしょ!?私達は、“人間”じゃない。》
「ッ!……でも優くんは……」
《意味の無い事を考えるのね。人間は人間じゃない者を拒む。今までだってそうだったじゃない!だから…》
「だからって………優くんを……“餌”としてなんか考えられないよ…」
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