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「美香!!俺がわかるか!?」
手を優しく掴み、横を向いている美香の目線に合わせるように膝をつきく。
「ぉ兄ちゃ…ん……なん…か……体が…寒…いよ………」
光の無い眼で俺を見つめる。
本当に俺を見ているのかわからない程虚ろな眼をしていた。
「恥ずか…しくて……言え…なかったけ…ど………ギュッ…て……して…?……寒い…の……」
途切れ途切れに聞こえる美香の言葉をはっきりと耳に入れ、要望に答える。
美香のベットに座り、
仰向けになっている美香の背中に手を回して起き上がらせる。
背中に手を回して時、水滴がついたがそんなのは気にしなかった。
美香を自分の方に傾かせ、優しく、ギュッとする。
弱々しく動く手が俺の背中で止まる。
美香は頭を俺の肩に置き、力を抜く。
どんな表情かはわからないが安堵が聞こえた。
「お兄…ちゃん……あっ…た…かぁい…………」
弱々しく回された手がベットへと羽根のように墜ちた。
最後の言葉だった。
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