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騒がしい。
人間達の大きな争いもそうとうなものだった。
千とも万とも知れぬ人の足と馬のひづめは地面を打ち鳴らし、まったくあの時は眠れやしなかった。
――ゆっくりと、男は体を右にまわして寝返りをうった。
だが今回の騒がしさは騒音だけではない。
みんなが人間を恐れはじめた。恐れが高まり、冷静さを失ってきている。
せっかく人間達が少しの間落ち着いているのだ、この静けさを楽しむべきではないか・・・。
男は右手をのばしてかめの口に手を掛けた。
男の手は肩から手首まで茶色の毛で覆われていた。
「ぺっ」
かめの中につばを吐いて、男は周りを見た。
ごつごつした天然の岩壁。光は差してこない、地中の極上の個室である。
「みんな落ち着かねばいかんのだ。おれのように、静かに・・居ねむりでもして・・・」
男は言い終わると仰向けになり、また居ねむりをはじめた。
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