紫陽花の残夢で逢いましょう

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紫陽花。――――偽りの花。 花びらの様に色づいて、大きな萼。 六月の冷たい雨に打たれながら、その萼には水滴が残る。 萼ならば、葉と同じ色をしていればいいものを。 色づいて、惑わせて。だから偽りの花。 そう思い、軽く襖を開け庭を眺めた。 あちらこちらに紫陽花の束が連なる。 この世を映すかのように、偽りで色付けられた我が庭。 ただ、そんな世も美しいと思った。 .
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