chapter:2 開眼の儀

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教会の奥には、儀式の時にだけ使われる儀式場がある。 約10分後、そんなに広くはないはずの教会の中で少しだけ迷子になっていたトバルは、何とか儀式場に辿り着く。 「トバル、来るの遅い」 と、儀式場に入るなり軽く息を切らしたトバルは、開いた扉に手をかけながら声のした方を見る。 そこには綺麗な銀髪を肩まで伸ばし、男物の衣服に身を包んだ女性が腕を組んで仁王立ちしていた。 「そっちが早過ぎなだけだろ、エヴァ。まだ、始まる1時間も前だよ?」 息も切れ切れに、トバルは言い返す。 しかしエヴァは眉間にシワを寄せて 「私より遅く来て、口答えする気?」 まずい、とトバルは思った時にはもうすでに遅く、彼女の体からは怒りのオーラと共に禍々しい魔力が放たれていた。
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