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戦慄
『Matter』発現の報せは瞬く間にハンターギルド内外に知れ渡った様である。
恐怖におののく者、祈りを捧げる者、今回のミッションから手を引こうと手続きに奔走するハンター達も居る。
「アンタは、やはり逃げないのだろうな。命が惜しくはないのか。」
そう言って話掛けてきたのは、身の丈程もある大剣を携えた大柄な剣士。
この男の事は“ダイアー・ベア”と云うコードネームでしか知らないが、輝かしい戦績からハンター達からは一目置かれている様である。
「フェンサー2、
悪い事は云わん、今回のヤマはヤバ過ぎる。降りたほうが良い。アンタ程の腕利きを、我々はもう失いたくない…」
―言い終えるのを待たずその言葉を遮っていた。
「この俺に失うモノなど何も無い。
目の前に立ちはだかる敵は全て、我が剣で斬り倒すまでだ。」
そう、
奴らは、奴らだけは我が剣の名の下に叩き伏せる必要がある。
かつて我が手を怨念の血で染めた奴ら『Matter』だけは。
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