戦慄

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

戦慄

『Matter』発現の報せは瞬く間にハンターギルド内外に知れ渡った様である。 恐怖におののく者、祈りを捧げる者、今回のミッションから手を引こうと手続きに奔走するハンター達も居る。 「アンタは、やはり逃げないのだろうな。命が惜しくはないのか。」 そう言って話掛けてきたのは、身の丈程もある大剣を携えた大柄な剣士。 この男の事は“ダイアー・ベア”と云うコードネームでしか知らないが、輝かしい戦績からハンター達からは一目置かれている様である。 「フェンサー2、 悪い事は云わん、今回のヤマはヤバ過ぎる。降りたほうが良い。アンタ程の腕利きを、我々はもう失いたくない…」 ―言い終えるのを待たずその言葉を遮っていた。 「この俺に失うモノなど何も無い。 目の前に立ちはだかる敵は全て、我が剣で斬り倒すまでだ。」 そう、 奴らは、奴らだけは我が剣の名の下に叩き伏せる必要がある。 かつて我が手を怨念の血で染めた奴ら『Matter』だけは。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!