白の衣装

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そもそも中宮大夫になんぞ成りたくもなかった。 兄達は順調に出世し位を上げて行ったが、藤家の御曹司と言えど四男となれば父にも捨て置かれていた。 新しい役を与えられたかと思えば、何が悲しくて兄の大姫の世話係…… 胸糞が悪うて仕方がなかった。 それでも父や兄の機嫌を損ねぬよう、最低限の役はこなさねばならない。 挨拶に参上した二条邸……そこで初めて俺は定子をかいま見た。
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