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殿上での宴は今日も華やかで賑わっている。
主上は可能なかぎり定子を何時も傍に置く。
今日も又、定子は清涼殿の御簾の中に着座している。
定子はこちらを向く事もない、しかし、俺は何時も低くよく通る声を平時より大きめに出す。
女の話の時は尚更だ。
「一回寝ればその場限りで文も送る気がせんわ。
所詮は……皆戯れ言だ」
お前もあれきりの女、俺はお前の事など気にもかけておらぬ。
お前が俺の事を気にもしていないようにな………
そして俺は御簾の端よりそれを見てしまった。
懐仁と定子が手を取り合い、お互いしか目に入らぬかの様に微笑みあっている。
俺は勢い良く杯を干した。
飲めるだけ飲んで忘れ様としても、目の奥に焼き付いた光景は悪酔いを招いただけだった。
俺は明け方に明子を訪れのその躰に憂さをぶつけた。
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