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法興院の一切経供養を兄が営んだ。
東三条の女院も参会するので、勿論二人の弟である俺も参列しなければならない。
煩わしい事この上ないがそれに相応しく身なりをしっかり整え姉の随身に連なった。
大路を進む女院の唐車、それに従う尼車、女車が盛りの梅の下を通り過ぎる。
数ある車より以前関係が合った女や今も続いている女の視線を感じた。
俺は女達に目もくれる事もせず、今が盛りの籐家の男として堂々とした体躯を晒す。
俺が欲しかった視線は一人だった。
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