白の衣装

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視線を感じたい女は女院の後より輿の中の人となる。 煌びやかな参列の中心で多くの女房、中宮大夫である俺を含めた数多くの随身を従える高貴な身分…… ………思えば定子の顔を拝んだのは夜だけだった。 晴れ渡った明るい所でしっかりと定子を見てみたかった…… 定子にも日の光の下で俺をその眼差しの中に留めて欲しかった。……… 女院の唐車は滞りなく進む、乾いた土埃は真っ白であった下衣を薄汚く染めていった。
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