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間もなく、定子は中宮として煌びやかな輿の中に収まった。
付き従う随身、女房の車、全てを従え定子の列は進む。
いつからこんなに隔たりが出来たのだろう。
あの夜は少しの隙間もなく俺の腕の内にいたのに……
定子の輿は俺の前方にあり、視界より近づく事もなく、遠ざかる事もなく、ただ淡々と進んでゆく。
これが俺とお前の距離か……。
今は、唯お前を見ているだけだ。
いつか、お前が俺を無視出来なくなったその時。
定子と俺の距離はなくなるのだろうか………
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