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父よりも、兄よりも颯爽と纏われた衣装の道長様はわたくしの脳裏より離れてはくれなかった。
道長様、あなたにとっては数ある一夜の戯れの相手でも、わたくしには初めての殿の方。
求愛の文も甘い囁きも全て無くわたくしを奪い、その後は後朝の文も寄越さず知らぬ顔をなさった酷い方。
だからあなたに見ていただきたかった。
この陽の光の中、一番着飾ったわたくしを見て少しでも惜しい事をしたと思うて欲しかった。
ただ……それだけだった。
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