桜嵐

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「宮、今年はこちらの桜にばかり目が行ってしまうよ」 わたくしの桜重ねの装束に目をやり微笑まれる懐仁様。 「こちらの桜の方が美しく香り、柔らかく、暖かい……」 そっと指を絡ませ合えば、たちまち指先に懐仁様の唇が繋がったままの手に近寄り熱が伝わる。 「去年の桜と、今年の桜が同じようで違うもの……この先の春も懐仁様と桜を眺めていれればと願います……」
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