桜嵐

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宴はたけなわとなり、舞を舞う者達が花を添える。 「道長に舞を所望する」 父大臣より舞を所望され、おもむろに立ち上がった道長様は酒を召され過ぎたせいか足元も覚束ない。 それでも笙の音が場に響き、余りの完璧な足どりで舞う「双調」…… 刹那、あの日のように真すぐな眼差しが、わたくしの目に眩しく突き刺さった。 心の奥底がぞわりと蠢く。
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