桜嵐

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なにも、なにも疚しい心無く、このまま道長様を眺められればどんなにか楽だっただろう。 こうして懐仁様の腕の中にいても、道長様の眼差しで、わたくしの心がざわめく、蠢く。 「宮、今宵も清涼殿に……」 「……はい、御心のままに」 耳元で甘く囁く懐仁様の声がわたくしを現世に戻す。 わたくしはこの方に愛され、守られ生きてゆく。
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